私的メモ

西原口腔科診療所
 

骨性癒着の人工歯根と、線維結合様式の人工歯根とでは歯の機能が全く異なります。主応力線の分布では、骨に癒着する歯は、歯根を通った主応力線(Principal stress trajectory)はそのまま連続体として骨に流れます。つまり顎骨と歯は一体として咀嚼力に対応することになります。しかし骨と人工歯根はヤング率やポアソン比(Poisson’s ratio)の相違が大きいので、無荷重のときや小荷重下では骨と歯根が癒着していますが、大きな荷重が反復すると必ず界面離開を生じます。これは約30数年前に数理計算によって材料工学において明らかにされております。
 線維結合組織を付着する人工歯根の主応力線の分布の解析によれば、応力を歯根が先ず負担し、二次元有限要素解析の結果では、歯周の線維組織で主応力線が直交する二成分に変換されます。変換された主応力線は、平行なものは固有歯槽骨を作り、直角に走行するものは隋腔内の骨梁を作ります。
固有歯槽骨内を走行する主応力線は、顎骨の皮質骨に連なります。また、固有歯槽骨にも付着する直角に走行する骨梁を通る主応力線も、やはり顎骨の皮質骨に達します。つまり歯冠に加わる咀嚼力はすべてが顎骨の皮質骨で負担されているという、極めて特殊な力学機能体システムをもつといえます。

うそかまことか?インプラントは歯根膜ができないのが欠点だと言われたましたが、これだとどうなるのか。あまりに歯科医では説明されない西原式人工歯根。
大分まえから気にはなってましたが、この人工歯根如何せん情報量がすくない&専門外なので論文見てもよく理解できない。
なにか、よい本ないものかな?

Re: インプラントについて

 今、世界中で行われているインプラントはオッセオインテグレート…とか聞こえの良い表現をしていますが、骨性癒着をするわけです。この方式は爬虫類で見られる歯の状態です。歯と、骨は弾性係数が違いますから、爬虫類の場合は強い力がかかると歯がぽきんと折れてしまいます。でもまたすぐ生えてくるという便利な状態になっています。
  哺乳類では、釘植歯という形態になり、歯周靭帯(歯根膜)を介して、緩衝するようになっています。
  もし、骨性癒着の歯に過大な力がかかると、人工物であるインプラント体がぽきんとは折れず、歯槽骨が破壊吸収されていきます。歯周病予防が万全でも力学的に無理があれば吸収されてしまうのです。
 病理組織学的研究でも、良く持っている場合でも長期にわたって弱くではあるが、インプラント周囲は炎症状態が続いている…そうです。
  
 実際には、まずまず持っています。

 それは、歯にかかる力が比較的少ないため、なんとか持っているのであろうと考えられます。
 歯と、歯に被せる金属や樹脂とも弾性係数が違います。ですから、どんなに強固に接着させても、詰めたり被せたりしたものが脱落することはあります。でも、何十年ももつこともあれば、数年で駄目になることも(清掃不良でなくても)あります。その方がどのように噛んでいるか…ということに依存すると思います。
 いずれ駄目になるもの…と考えては元も子もありません。その間、何年という間、間十年という間、食事、会話に毎日毎日役に立ってくれた…と考えれば良いと思います。
 インプラントも似たことが言えます。

  ほとんどのインプラントが、インプラント自体が骨と調和して結合するような材質を開発してきました。
 しかし、私の知る限り、2つほど、歯にかかる応力を考えて形態を考慮したものがあります。世界の主流であるオッセオインテグレートは求めていません。
 1つは、以前東大医学部に居られた西原先生が開発されたもので、インプラントと呼ばず人工歯根と呼んでいます。その形状が独特で、人工歯根にかかった応力が骨との接点で液性流動に変換されると、人工歯根の表面にセメント芽細胞が分化して歯根膜が出来てしまうのです。
  天然歯と同様の構造になりうる人工歯根なのです。
  形態の工夫で、弾性係数が違っても応力を上手くエネルギーに変化させて、骨の吸収どころか歯根膜を作るとは画期的なことです。
  応力が必要なので、植え込んですぐ仮歯で噛ませることが出来るというのも利点です。通常のインプラントはくっつくまで何ヶ月も待たなくてはいけません。

  しかし、一旦ある方法が広がってしまい主流になると、なかなか別の方法が、良いとは言えすぐには広がりません。
  生理的動揺が無いと言う欠点をなくするには、この人工歯根しかないのではないか?と思います。個人的意見…とさせていただきますが。 はせがわ歯科医院