バイオ燃料 何のために使うかを忘れずに(5月1日付・読売社説)

Hikaru2562007-05-02

「環境に優しい燃料」と言えるのだろうか。どれだけ二酸化炭素(CO2)が減るのか。それがはっきりしない。

 植物を原料とするバイオエタノールを混ぜたガソリンの試験販売が首都圏で始まった。

 50か所の給油所で販売している。ガソリンよりも原価は高いが、国と石油会社が差額を負担して、値段は通常のガソリン並みに抑えている。

 日本は、京都議定書で、CO2など地球温暖化の原因となるガスの排出量を、1990年水準から6%減らすことを国際的に公約している。

 これを実現するため、政府は、輸送用バイオ燃料を2010年までに、原油換算で年間50万キロ・リットル導入する計画を立てている。試験販売はその先駆けだ。2年間かけて、流通などの課題を抽出し、安全性を確認する。

 この結果を踏まえて、石油連盟は最終的に、原油換算で21万キロ・リットルのバイオ燃料を導入する目標を掲げている。

 京都議定書では、バイオ燃料のCO2排出量はゼロと計算される。植物は大気中のCO2を吸収して育つ。バイオ燃料も、燃やせばCO2は出てくるが、生育中にCO2を吸収するので相殺する、とされている。

 だが、本当にゼロと考えていいか、疑問視する専門家もいる。原料のトウモロコシ、小麦などを育ててエタノールに変換し、輸送して供給するまでに、肥料や燃料などを大量に使うからだ。

 バイオ燃料の利用で、CO2排出量は6、7割減るという試算もある。逆に2割程度増えるという悲観論もある。

 石油連盟が使うバイオ燃料はフランスから輸入した。原料は小麦だ。生産から使用までの各段階でCO2排出量がどう増減したか、きちんと計算すべきだ。

 環境、農林水産の両省も、バイオ燃料の供給拡大を目指している。すでに環境省は、沖縄県で小規模な実証試験も行っている。しかし、こちらも、CO2排出量の増減は算出していない。

 ただ、バイオ燃料には温暖化対策以外の期待もある。新たなエネルギーの確保だ。日本は原油の9割を中東から輸入しており、依存度の低下につながる。

 トウモロコシなどの食料を、車の燃料にしてもいいのか、という批判も少なくない。それでも米国が、国を挙げてバイオ燃料の研究開発と導入に力を入れているのは、自国のエネルギー安全保障が視野にあるからだ。

 バイオ燃料は大きな可能性を秘めている。しかし、コストの削減、原料の多様化など課題も山積している。
(2007年5月1日1時41分 読売新聞)

 「環境に優しい燃料」と言えるのだろうか。どれだけ二酸化炭素(CO2)が減るのか。それがはっきりしない。
 確かにこれは色々な問題にいえることでしょう。
 リサイクルにしろエコバックにしろ、環境面を点でしか見ていない状態。点ではなく、線で見る必要があるでしょう。
 また、環境!環境!いうのであれば生活レベルを下げると必要がある。
 もしくは、人口を抑制する必要がある。そうすれば、一人あたりの環境負荷が変わらずとも全体の環境負荷はさがる。
 いまの社会は、経済発展を至上目標にしている。しかし、環境を鑑みれば不可能に等しい。あらたな技術開発に期待しているのか?
 経済発展と人口増大は環境問題とは相反する問題です。
 もう少し、慎ましく行きていける社会システムの構築が望まれるでしょう。